研究課題
繰り返しの最大筋パワー発揮による活動後増強と筋疲労との関係を高齢者と若者で比較することを目的とし、健康な若者8名(27±1歳)および高齢者8名(70±2歳)を対象とし、最初に足関節背屈等尺性最大随意筋力(MVC)を計測した。等張性収縮の負荷設定が行え、角関節速度が測定できる装置を用いて、MVCの20%の負荷で、最大努力で短縮性収縮を25回実施した。最大筋パワー(watt)を、負荷強度におけるトルク(Nm)と角速度(rad/s)の積から算出した。さらに、筋パワーの減少率、および筋収縮時の筋電図(EMG)と筋音図(MMG)の平均値の減少率を高齢者と若者とで比較した。その結果、足関節背屈最大筋パワーは、若者と高齢者ともに最初の5回の筋収縮から最後の5回の筋収縮まで有意に低下し、その低下率は高齢者で18.3%、若者で15.1%であった。同様に、最初の5回の筋収縮中のMMGは、最後の5回のそれよりも高齢者で32.5%低下し、若者で24.3%低下していた。しかし、EMGには有意な変化は認められなかった。以上の結果から、20%MVCでの最大筋パワー発揮中の筋パワーの減少には、筋の電気的要因ではなく、筋の機械的な要因が関与し、加齢の影響を受けないことが示唆された。繰り返しの筋活動によっても活動後増強がみられ、高齢者の活動後増強効果には筋の機械的要因の増加が関与する(Shima et.al.2006)ことから、活動後増強効果により筋パワー発揮が維持され、筋の機械的要因の低下に伴って筋パワー発揮も低下することが示唆された。
すべて 2009 2008
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Journal of Electromyography and Kinesiology Volume19, Issue3
ページ: e154-e161
Journal of Aging and Physical Activity Volume16, Supplement1
ページ: S7