研究概要 |
刺激-反応の系列数を8個に設定したパフォーマンスの検討では,2番目までは反応競合によって,正解反応と比べてエラー時に反応時間の促進が確認された.また,刺激一反応系列の後半で反応の遅延が認められ,且つエラー率が刺激-反応系列の中盤から上昇を示した.これらの結果から,刺激-反応系列を8個にすることで,目的としたエラー認知に関する手がかり情報の操作が可能であると考えられた. 脳波による検討は,パフォーマンス検討の結果を基に11名の被験者を対象として行った.Fb-ERN振幅値の検討では,被験者に自身のパフォーマンスが誤りであるとフィードバックを呈示した試行を抽出した.また,被験者の記憶の明確さに関する主観評定結果から4条件に分けて検討した.その結果,fb-ERNはFronto-Central部位の電極において,被験者の記憶の明確さには関係なく,自身のパフォーマンスが正しいと考えている場合に電位の増大が認められ,Holroydらの主張を支持した.これに対し,間違っていると考えていた場合には減弱することが認められた.ERNに関する検討では,被験者が自身のパフォーマンスが間違いであると,最も強く主観評定した場合のみ出現した. これらの結果から,今後の検討では両電位の機能的差異を捕らえるために自身のパフォーマンスが間違いであると被験者が認知している場合のERN,fb-ERNについて時系列変化を精査することとする.
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