プロジェクト(他専攻学生を対象とした体育授業構想力と実践力を獲得するための授業プログラムの開発)の試みから、一人の学生が教師役を担い、その他の学生は生徒役・観察者役を行う方法が適していると考える。それは、一人の学生が変容する過程をみることができ、反省的実践の基礎を知ることができるからである。一方で、残りの学生は教師役を経験できない。また、一人の学生への負担が大きいこともマイナス要因である。また、現職教員の授業を模擬授業として受けることは、体育授業のイメージが変わる可能性がある。しかし、多くの時間を模擬授業に費やし、準備等にも多くの時間や経費を費やすといったマイナス面もある。 教師教育のカリキュラムの中で強調されるのは、教師の実践的能力(performance competency)の育成ということであるが、このことはただちに教師の専門的・学問的能力(knowledge competency)の排除を意味するものではない。両者の統合カリキュラムが強く求められていると受けとるべき。 そこで、講義形式の授業によって、どれだけの効果があるか検討した。その結果、教師専門的・学問的能力(knowledge competency)については、有意に向上したものの、実践的能力(performance competency)については、有意な向上は観られなかった。このことからも、教師の実践的能力の育成と、教師の専門的・学問的能力の両者の統合カリキュラムが強く求められる。よって、3年間で検討を試みた他専攻学生を対象とした体育授業構想力と実践力を獲得するための授業プログラムは、一定の効果があると判断できる。
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