本研究は、次の2つの研究課題を設定して研究を進めた。(1)国内外において「eポートフォリオ」を教育実習に取り入れている先駆的な大学の事例、とりわけ「eポートフォリオ」の開発プロセスを知悉する(研究課題(1))。(2)これらを基に、体育教員養成における新しい教育実習のアセスメント・モデルを開発する(研究課題(2))。 本年度は、研究課題(1)を中心に遂行した。とりわけ、国内においては、兵庫教育大学、奈良教育大学、信州大学、愛媛大学、広島大学を訪問調査した。国外では、アメリカ合衆国のコロンビア大学、ウィスコンシン大学マディソン校、スタンフォード大学を訪問調査した。国内のデータについては、インタビュー内容を整理している最中である。一方、量的な調査として、日本教育大学協会に登録されている教員養成系大学・学部から『教育実習の手引き』を収集し、教育実習の評価観点を析出し、来年度の研究を遂行するための基礎データをとっている。国外の調査内容については、データを整理中である。 一方、国内外の調査結果をもとに、研究課題(2)の一端として「指導法に関する科目」の授業において学生たちの動画や指導案等のファイルをWeb上で閲覧できるCMSサイトを構築した。簡易的に自作PCにおいてサーバーを立ち上げ、学生のリフレクション能力についてその成果を日本教科教育学会にて発表した。さらに、本学が平成19年度の教員養成改革モデル事業の教職実践演習分野に採択され、そのモデル事業にて「TP」の導入や活用を実証した。その成果の一端は、体育科教育(4月号)に掲載されている。 来年度は、研究課題(2)を遂行するために、実際に大学の授業と教育実習の連携を図り、アセスメント・モデルを試行的に実証していきたい。
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