本年度は、以下の2点についての調査研究を実施した。 1、大正期の東京市における林間学校の調査・研究従前からの東京市に関係する研究成果に加えて、新たに東京市社会局による「御殿場夏期林間学校」と「佛蘭西寄贈病院」が三田「有馬ヶ原」で実施した林間学校の調査を行った。また、その成果を「大正末期の東京市における林間学校-御殿場夏期林間学校と佛蘭西寄贈病院-」(『早稲田教育評論』22巻1号、2008年)としてまとめた。 2、各府県における林間学校の調査大正期の林間学校に関する書籍によると、当時、林間学校が実施されていた地域として、香川県、大阪府、宮城県などが挙げられている。そこで、本年度はそれぞれの地域における史料調査を実施した。具体的には以下の通りである。 (1)香川県における史料調査香川県の場合は、事前調査を行い各関係機関の史料収蔵状況を調査した。その結果、香川県公文書館・香川県歴史資料館・香川県教育センターには教育関係の史料があまり収蔵されていないことが明確となった。そこで、対象を香川県立図書館に保存されている新聞・雑誌に限定して調査を行い、香川県における林間学校の史料を多数集めた。 (2)大阪府における史料調査大阪府の調査は、大阪府公文書館に保存されている学校関係文書と、府立中之島図書館が所蔵する図書を対象に調査を実施し、多数の史料を収集した。 (3)岐阜県における史料調査岐阜県では岐阜県立図書館に所蔵されている『岐阜県教育』を対象に史料調査を実施し、林間学校関係の記事を収集した。 (4)宮城県における史料調査宮城県では宮城県公文書館所蔵の学校関係文書を対象として調査を実施し、関連する史料を収集した。今後は、上記の調査結果を基に、地域性に着目しながら分析を進め、大正期の各府県の林間学校の特質を明確にする。
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