研究概要 |
今年度は、単純な体幹の側屈、屈曲伸展、回旋動作の運動力学的分析を行った。まず、予備実験として、Zatisorsky and Seluyanv(1983,1985)の部分長や周径等の身体計測パラメータを用いた推定法の精度について検討した。10名の男性に被験者について、必要な身体計測パラメータを測定し、慣性パラメータを推定した。その結果、推定した各セグメントの部分質量から計算された体重は、すべての被験者で実際の体重より大きく、過大評価してしまうことがわかった。人種による体型の違いが影響している可能性が示唆され、Zatisorsky and Seluyanv(1983,1985)の身体計測パラメータを用いた推定法を、日本人に適用することは一部の部分質量を過大評価してしまう可能性が示唆された。したがって、以後の分析ではこれを用いなかった。また、Pearsall(1994)の方法は、この論文に記載された値におそらく誤りがあるため体幹部質量を正しく推定できないと考えられたので、以後の分析では用いなかった。 男性の被験者9名に対して、これらの動作を2台のフォースプレート上で行わせた。8台のViconカメラを用いて、動作中の全身のマーカーの3次元座標を得た。Zatisorsky and Seluyanv(1983,1985)、最近報告されたMcConville, et. al.(1980)のデータを基にしたDumas, et. al.(2007)の補正法、阿江(1996)の慣性パラメータの推定法を用いて、体幹に作用する力とトルクを計算するプログラムを開発した。来年度に結果を報告、発表する予定である。
|