本研究の目的は、プロスポーツを通じた地域活性化メカニズムの解明である。仙台市は「ベガルタ仙台(Jリーグ)」と「東北楽天ゴールデンイーグルス(プロ野球)」という比較的若いプロスポーツチームを抱えている。両チームの特徴として、自治体行政との連携が挙げられる。プロスポーツが地域に存続するためには、行政の各部局が縦割り組織を超えて連携し、相互学習を通じた社会的ネットワークづくりが必要とされる。また、元経済界を含む、地域ステイクホルダーとの連携も盛んである。さらに、興味深いのは市民・地域住民レベルでの連携である。ベガルタ仙台では、ファンクラブと環境ボランティア団体が連携し、スタジアムのゴミ減量化に成功している。この事例の知識は、Jリーグを通じて他のクラブにも共有されている。楽天も同様に、ボランティアと連携して試合運営をしている。 以上の特徴を鑑みて、本研究では、仙台市のフィールド調査を中心に事例研究を行った。平成21年3月から6月にかけて、仙台市プロスポーツ関係者、11件、のべ14名に対してインタビュー調査を行った。また、付随する資料等の収集を行った。インタビューでは、プロスポーツ(プロ野球、Jリーグ)のビジネスモデルに関する概要の把握から、仙台市における独自のシステムに関する設立経緯、概要、今後の展開について聞き取りを行った。以上より、調査収集された情報を分析し、仙台市におけるプロスポーツの地域システムを考察する。
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