本研究は、各部位の筋の運動に対する貢献の違いに着目し、各部位の筋のトレーニングおよび脱トレーニングの影響を、組織・生化学的手法を用いて筋線維レベルで詳細に調査することを目的としている。 平成20年度中には、上腕頭筋(前躯)、最長筋(体幹)、中殿筋(後躯)の4つの筋について、それぞれの筋のトレーニング効果および脱トレーニングの影響を調査した。被検動物として2〜3年齢のサラブレッドを4頭用いて、週に5日の割合で16週間の走行トレーニングおよび12週間の脱トレーニングを行った。トレーニング前(0週)、期間中(8週)、終了時(16週)、脱トレーニング4週目、12週目に、それぞれ前述の部位から筋サンプルを採取した。また、これらの筋サンプルを用いて、以下の分析を行った。 ・ SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 : 筋線維中の収縮タンパクであるミオシン重鎖の分離同定。トレーニングおよび脱トレーニングに伴う、タンパク発現の動態の調査 ・ 免疫組織化学的分析 : 筋線維中に発現するミオシン重鎖に基づく筋線維タイプの分類 ・ 組織化学的分析 : 筋線維ごとの酸化系酵素活性の測定、各筋線維タイプの面積・本数比の算出 ・ 生化学的分析 : 筋の有酸素性能力の指標となるTCAサイクル中の酵素、無酸素性能力の指標となる解糖系上の酵素の活性測定 これらの分析は、現在も継続中であり、データを蓄積している段階である(平成21年度の研究計画にも含まれる)。
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