研究概要 |
本研究は,新たに開発したテニスの電子スコアブック(以下,スコアブック)を用いた新しいパフォーマンス評価法の開発を目的とした.具体的には,パフォーマンス評価の指標を作成するために,評価指標の妥当性について各種試合データを基に検証を行い,その結果を基にスコアブックによるパフォーマンス評価のための出力プログラムの開発を行う.本年度は,パフォーマンス評価指標の検討を行った.特にプレー中の時間的要素について,スコアブックを用いて1ポイントに要する時間,ポイント間の時間,1ショットに要する時間などのデータを収集し,年代別の様相やゲームの結果との関連性を明らかにした.その結果,年代を経るごとにプレーの高速化が顕著になっていることが示された.またサービスゲームの取得とプレー中の時間的要素に関連性がみられ,その関連性はプレーヤー個人の特徴を示しており,プレーの評価を行う際には,この特徴をふまえた評価を行う必要性があることが推察された.またスコアブックを用いた評価プログラムの開発にあたっては,Hughes, et. al. (2001)やO'Donoghue (2005)の示したプロファイリングの技法が有効であることが推察された.なお本年度実施予定であった(1)これまで経験的に用いられてきた指標とポイント取得やセット取得,試合の勝敗などとの関連,(2)スコアを基にした新たなパフォーマンス評価指標の検討,の二点については,2008年度の前半に検討を行う予定である.これらの成果をふまえ,2008年度の後半にスコアブックを用いたパフォーマンス評価プログラムの開発に着手し,テニスのコーチング場面に効果的なツールとしてのスコアブックの開発を進める.
|