研究概要 |
平成19年度はスキーキック力およびポーリング力の計測装置を製作し、これらを同時計測できるシステムを開発した。また、製作した計測装置の力学特性の評価を行った。スキーキック力の計測では、薄型の圧センサをスキーブーツ内に埋め込み、足圧値からキック力の評価を行う。ポーリング力計測では歪みゲージをセンサとして用い、ポールのしなりから力を電気的に計測する。圧センサや歪みゲージを用いることで、計測装置の軽量化を図り、被験者の負担を減らし、動作の妨げも防ぐよう工夫をした。まず、スキーキック力の計測装置を完成させ、ビデオによる3次元動作解析システムと同期して、屋内実験を行った。実験では、被験者1名に幅1.8mのトレッドミル上でローラースキー滑走動作を課した。トレッドミルの斜度をパラメータとして(3,5,7,9,11%)、スケーティング滑走技術の一つであるクイックスケーティング(QS)滑走の動作対応を分析した。その結果、斜度の増加に伴いローラースキーの開き角度が大きくなった。しかし、スキーキック力やキック時間、ピッチには有意な差は見られなかった。このことから、QS滑走の下肢動作に関しては、斜度の変化に対し、スキーの開き角を大きくしてキック力の推進成分を増加させることで対応し、力学的な対応を行わないことが分かった。この結果をもとに、4th International Congress Science and Skiing 2007(Austria)にて学会発表を行った。現在では、ポーリング力計測装置を完成させ、その校正作業を終えている。すでに被験者1名に対し、上記と同様の計測実験を行い、そのデータを分析中である。
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