南太平洋各国のスポーツ振興に大きな影響を及ぼすことになった「Pacific Sporting Needs Assessment(2004)」や関連資料を精査するとともに、マーシャル諸島にて実態調査を実施し、南太平洋のスポーツ振興の動向と各島嶼国のスポーツ状況のプロファイリングを行った。一連の研究から明らかになったのは以下の点である。 【南太平洋のスポーツを振興する側(オーストラリア)のスポーツ政策の特徴について】 ●各国一様なスポーツ振興のあり方ではなく、より効率的なスポーツ振興のために、「Pacific Sporting Needs Assessment(2004)」を重視していること。また「Pacific Sporting Needs Assessment(2004)」の作成においては、オーストラリアのスポーツ行政の中核であるAustralia Sports Commissionに加えて、Department of Foreign Affairs and TradeやAusAIDといった各国際開発関係機関などが協力し、学際的な政策研究体制が構築され始めているということ。 【スポーツ振興計画を受容する側(2007年度研究事例:マーシャル諸島)の特徴について】 ●近年、IOCに加入したものの、現地社会においてオリンピック委員会の存在は広く浸透しておらず、その役割は十分に機能していない状況にあること。またオーストラリアが主要なアクターとなっている周辺国の状況に比べて、コンパクト協定のもと、アメリカに依存する国家体制を反映してアメリカのスポーツ文化の影響が強いということ。 以上の事項を明らかにできたことは、今後の研究を展開していく上で重要な基礎資料となった。
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