研究概要 |
筋酸素化レベルの回復時間を用いた筋有酸素能評価法では、測定対象者に最大全身運動を行わせる必要があり、多大な身体的負荷を伴う。本研究では、身体的負担の少ない運動での筋有酸素能測定方法を確立するために、動的膝伸展運動および自転車運動を用いて、最大下負荷での運動後の筋酸素化レベル1/2回復時間(T1/2reoxy)と各運動での肺最高酸素摂取量(pVO_2peak)および活動筋最高酸素消費量(mVO_2peak)との関係を明らかにすることを目的とした。 成人男性7名が多段階漸増負荷での動的膝伸展運動および自転車運動を行った。動的膝伸展運動では、負荷を24wattから12wattずつ、自転車運動では、60wattから30wattずつ負荷を漸増させ、各運動ともに各負荷にて3分間の運動後3分間休息を設けられ、疲労困憊になるまで行われた。測定項目は、酸素摂取量、二酸化炭素排出量と近赤外分光法を用いた外側広筋部筋酸素化動態であり、外側広筋部の筋酸素消費量(mVO_2)および休息期間にT1/2reoxyが評価された。 膝伸展運動では、mVO_2peakと63%pVO_2peak強度運動後のT1/2reoxyの間に欄傾向(r=-0.726, p=0.06)が認められた。自転車運動では、無酸素性作業域値(VT)がみられた運動負荷強度後のT1/2reoxyとpVO_2peak(r=-.930, p<0.01)およびmVO_2peak(r=-823, p<0.01)との間にそれぞれ有意な負の相関関係が認められた。 以上のことから、動的膝伸展運動および自転車運動共に、VT強度に相当する最大下負荷運動後に評価されたT1/2reoxyは、pVO_2peakおよびmVO_2peakとの間に関係があること明らかになった。つまり、身体負担の少ないVT強度の運動でも筋有酸素能を評価できる可能性が示唆された。
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