研究概要 |
1.剣道難聴の実態調査 (財)全日本剣道連盟の医・科学委員会の協力の下で,平成20年度に全国規模の調査を行うことが決定した. 2.生体計測による剣道難聴の実験 ヒトから計測可能な「オージオグラム」,「聴性脳幹反応(ABR)」,「歪成分耳音響放射(DPOAE)」の三種類の聴覚由来の生体反応を剣道の練習前後で測定した.実験は,本研究費で購入したオージオメータ,およびFFTアナライザを用いて行った.本校の剣道部員,延べ7人(男子:6人,女子:1人,剣道経験年数:4ヶ月-5年)を被験者として行った結果,聴力及びDPOAEレベルは,剣道の練習によって低下した.聴力の低下(1.2dB)に比べ,DPOAEのレベルの低下(0.3dB)の割合は25%であることから,練習後の聴力の低下に対し,感覚細胞の機能低下が支配的ではないことが分かった.一方,練習後のABRの反応時間は,聴神経よりも脳の中枢側において特に遅くなったことから.剣道の練習は,感覚細胞よりも脳の中枢により大きな影響を及ぼしていることが示唆された. 3.FEMモデルによるシミュレーション 防具の中でも特に聴覚への影響が大きいと考えられる「面」に着目し,面のモデルをSolid Worksを用いて作成した.平成20年度では本研究費により,衝撃解析ソフト(Abaqus)を購入し,解析予定である. 4.側頭骨を用いた打撃実験 上記3のシミュレーション結果の妥当性を評価するため,平成20年度に行う予定である.
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