運動中の疲労に対する大脳皮質運動野(M1)の酸素化に関する検討を行った。その結果、疲労困憊に至ると活動肢に対して対側(Contralateral)だけでなく、同側(Ipsilateral)の酸素化も低下した。また、非利き手においても検討をした結果、非利き手においても、利き手と同様にContralateral M1だけでなく、Ipsilateral M1も低下した。これはContralateral M1からlpsilateral M1への抑制が起きた可能性がある。前者については、Brain Research (2007)に掲載され、後者はClinical Neurophysiology誌に投稿中である。また、疲労困憊に至る運動時の両側(Bilateral) M1の酸素化動態は、学習によりその可塑性を変化させる可能性がある。そのため、運動経験がBilateral M1動態にどのように影響を及ぼすのかを、トップアスリートと運動経験の乏しい者に参加いただき検討を行った。その結果、トップアスリートにおいては、これまでの報告と同じように、疲労困憊に伴い、Bilateral M1の酸素化が低下したが、運動経験の乏しいものは疲労困憊に至っても、Bilateral M1ともに酸素化の低下が認められなかった。このことから、Bilateral M1の酸素化動態には運動学習による変化が存在することが示唆された。これに関しては、European Journal of Applied Physiologyに投稿中である。
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