研究概要 |
1.準備 (1)先行研究の収集とレビュー ワーク・ライフ・バランス研究の専門家からの意見聴取,先行研究のレビューを通じて,質問項目作成のための情報収集を行った。その結果,我が国だけでなく海外においても,仕事と家庭との肯定的な関係(ポジティブ・スピルオーバー)に関する研究が少ないことが明らかになった。 (2)質問項目の翻訳と確定 オランダの海外共同研究者から入手した質問項目2001)の翻訳および逆翻訳を行った。 2.横断データによる検討 (1)質問紙調査 1(2)で確定した質問項目により調査票を構成し実施した。調査対象者は,中国地方の某市に所在する保育所に児童を預けている共働き夫婦約100組であった。調査票は,仕事のストレス要因,仕事と家庭のバランス(本研究ではネガティブ・スピルオーバー),心身の健康,職務・生活満足感などから構成された。 (2)調査結果の解析 「仕事のストレス要因→仕事・家庭葛藤→精神的不調」および「家庭のストレス要因→家庭・仕事葛藤→精神的不調」に関する仮説モデルを構築し,共分散構造分析を用いてモデルの妥当性を検証した。その結果,想定したモデルがデータをよく説明していること,およびそのモデルが性別にかかわらず適用できること,が明らかになった。 3.平成19年度に得られた成果とその意義 我が国および海外のワーク・ライフ・バランス研究の具体的な動向が明らかになったほか,横断データの収集とその解析により,次年度以降の課題(ポジティブ・スピルオーバー研究の必要性)が明らかになった。
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