研究概要 |
1.追跡調査の実施 平成20年度調査において,次年度以降の追跡調査への同意が得られた夫婦に対して調査票を送付し,回答を求めた。その結果,男女合計962名から回答を得ることができた。 2.調査データの解析 ワーク・ライフ・バランス(WLB)が個人およびパートナー(夫・妻)の健康・仕事・家庭機能に及ぼす影響について,ネガティブおよびポジティブの両側面から検討した。その結果,以下の4点が明らかになった。 (1)個人の仕事/家庭におけるストレス要因がWLBを悪化させ,自身の健康・仕事・家庭機能を低下させること。 (2)WLBに関して,仕事→家族葛藤(仕事が多忙で家事・育児が十分にできない)および家族→仕事葛藤(家事・育児が多忙で仕事が十分にできない)の両方向の葛藤を有している者は,単方向の葛藤のみを有している者に比べて自身の精神的健康およびパートナーとの人間関係が悪く,パートナーの精神的悪化につながること。 (3)個人のワーカホリズム傾向が自身の健康・仕事・家庭機能を低下させるだけでなく,パートナー(夫・妻)の健康・仕事・家庭機能も低下させること。 (4)個人のワーク・エンゲイジメント(仕事に対する肯定的態度)がパートナー(夫・妻)のワーク・エンゲイジメントに伝わること。その際,特に妻の共感性(他者視点)が重要な役割を果たすこと。 3.データベースの構築 平成20年度および平成21年度の調査から得られたデータ(個人およびパートナーのWLB,健康,仕事・家庭機能など)をもとにデータベースを構築し,WLBのあり方が自身およびパートナーの健康・モティベーションに及ぼす長期的影響を解析するための基礎資料を作成した。
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