研究概要 |
○本研究の目的は,アスリートの健康情報活用能力(健康リテラシー)とコンディショニングの実施能力の関係を明らかにすることである.そのために,アスリートの健康リテラシーを縦断的に評価し,アスリートが個々に取り組んでいるコンディショニングの実施記録を分析し,健康リテラシーのレベル変化がコンディショニングの実施内容に影響があるかを検討するものである. ○研究の進捗状況と次年度への課題 2007年度には,開発したトレーニング健康情報活用能力支援システムを用いて,健康リテラシーの年次変化について検証した.その結果,体育・スポーツ系大学でこのシステムに自発的に高頻度に触れているものは,健康リテラシーの尺度得点が高く,また年を追う毎に健康リテラシーの尺度得点が有意に高くなった. これらの健康リテラシーの評価を用いて,国内上位レベルの競技選手に研究協力を依頼し,一年間,健康リテラシーの評価を行った.その結果,同年代の体育・スポーツ系大学生よりも,健康リテラシーのいくつかの因子で有意に尺度得点が高かったが,シーズン前後では尺度得点の増加は認められなかった. さらにこれらの選手を対象に,プロトタイプでコンディション指標を収集し,コンディショニングの成否について検討を行った。しかし,コンディションの要因が多数であり,コンディショニングの成否を決定付ける指標の抽出に困難を極めた. 今後は,アスリート個別のコンディショニングの成果を,特に失敗例と成功例について,個人差が大きいと予想されるコンディションの要因との関連について質的研究を行い,健康リテラシーのレベルとコンディショニングの実施について仮説生成を試みたい.
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