研究概要 |
【目的】本研究の目的は,12週間,週2回の有酸素運動・レジスタンス運動の混合トレーニングが中高年の血糖,血清脂質に及ぼす影響を検討することである。 【方法】参加者は,健康診断で血漿グルコース濃度が110-125ml/dl,またはグリコヘモグロビン(HbAlc)が5.5-6.4%である者から選択した。参加者53名(女性37名,男性16名,平均年齢56.0±8.1歳)を,無作為に運動群(26名)と対照群(27名)に割り付けた。対照群の参加者には,自宅で実施できる運動方法を指導した。運動群の参加者には,トレーニング施設で12週間,週2回の運動(約1時間)を行ってもらった。運動群の運動プログラムは,8種目のレジスタンス運動(7-15回,3セット),および20分の有酸素運動(60-75%HRreserve)とした。血漿グルコース濃度,HbAlc,血清脂質,体重,腹囲,筋力(1RM)などは,ベースライン時と12週後に評価した。統計解析はintention-to-treat解析を行った。 【結果】参加者53名のうち,運動群で3名,対照群で1名が脱落し,49名(92.5%)が12週間のプログラムを完了した。筋力の変化量については,対照群と比較し運動群で有意に高い値を示した。HDLコレステロールは運動群,対照群ともベースライン値に比較し12週間後の値は有意に増加したが,変化量に有意な群間差は認められなかった。HbAlc,体重,腹囲の変化量に群間の差はなかった。 【結論】12週間,週2回の運動で筋力は向上することが示された。しかしながら,今回検討した血液指標に週2回の運動の顕著な影響は認められなかった。
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