研究概要 |
脂溶性化合物をリガンドとする受容体は核内および細胞膜に存在し、さまざまな生理活性を有することが報告されてきている。なかでもG-タンパク質共役受容体(GPCR)は細胞膜に存在し、主たる創薬のターゲットとして注目され続けている。これまで申請者の予備検討から、本年度はGPR120のさらなる機能解析を行った。特に生活習慣病ターゲット臓器のうち脂肪細胞について、その機能をあきらかにすることを目的とした。 3T3-L1細胞を1μM dexamethasone,500μM 3-methyl-2-isobutylxanthine,5μg/ml insulinを用いて分化させ、分化過程において脂肪酸のα-1inolenic acid(α-LA)で刺激し、分化の経過およびアディポサイトカインであるアディポネクチンの分泌について検討を行った。α-LA刺激によって、3T3-L1細胞の脂肪への分化が促進され、同時に分化過程においてGPR120に発現も上昇した。またα-LA刺激によって、アディポネクチン分泌の促進も認められた。さらにα-LA刺激がERKのリン酸化を促進したことから、α-LA刺激によって3T3-L1細胞に発現するGPR120からの情報伝達系の活性化することが示唆された。この結果から、GPR120のリガンドであるα-LAが、脂肪細胞においで分化促進に機能するとともに、アディポネクチンの分泌を亢進させることが示唆された。
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