研究課題
当該年度は、平成19年度の一般女性を対象とした、市販されている主な芳香精油の印象・疲労・ストレス回復、意欲向上効果の調査研究で明らかになった香りを元に慢性疲労症候群という疲労を強く訴える患者における効果についての検証を行った。平成20年度は、一般女性における疲労負荷時の柑橘系芳香による疲労緩和効果を条件付け学習により高められるという結果を得たので、当該年度の研究の結果を元に患者においても有効な方法の開発に着手する基礎データを得る目的で実験を行った。実際には、慢性疲労症候群患者14名を対象にグレープフルーツ、ジャスミン、緑、ラベンダー、ペパーミントの香りを匂わせ、その時の自律神経機能、主観的な疲労評価を行わせた。対照群として健常者21名を設定した。その結果、健常者の結果は、従来の結果と同様にグレープフルーツにおける疲労回復効果が高かったが、慢性疲労症候群患者では、ラベンダーやペパーミントによる疲労緩和効果が高く認められた。特徴的であるのは、患者では、この2つの香りを以外を匂った場合は、何も匂わない状態より疲労度がむしろ上昇したことである。一方、自律神経の緊張がもっとも緩和されるのは、ジャスミンであり、これは、主観的には、もっとも疲労度が上昇したと回答された香りであった。今回、人数が、少数であるため結論づけることは難しいが、患者が鎮静効果を感じる香りと実際に自律神経機能の交感神経系の緊張が緩和される香りには乖離がある傾向が強いことが明らかとなった。また、患者においては、香りによって、疲労が緩和されないものが多い傾向も認められた。
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Comprehensive Psychiatry 51
ページ: 78-85
FOOD STYLE 21 13
ページ: 29-31
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