本研究では、身体活動の分類精度の妥当性を行った加速度計を用いて、客観的に幼児の日常生活全般の身体活動量を明らかにし、その関連要因を探ることを目的とした。東京都、神奈川県および茨城県内の幼稚園および保育所において、加速度計を用いた身体活動量調査を行った。さらに、質問紙を用いて、兄弟や仲間あるいは近隣の運動施設の有無、運動習慣、テレビの視聴やゲームをする時間、保護者の過去・現在の運動習慣や子どもと身体を動かす活動習慣など、幼児の身体活動量に変動を及ぼす可能性のある生活環境要因を検討した。また、体力測定を実施した。本研究は、桜美林大学研究倫理委員会の許可を得て実施した。原則として木曜の登園後に、用意したベルトに2つの加速度計を装着し、1週間後の同じ曜日の登園後に回収した。水泳や着替え、風呂などやむを得ない場合を除いて装着するように依頼し、装着しなかった時間および睡眠時間について、記録者をつけてもらった。睡眠や着替えなど以外に1日2時間以上装着していない時間があると判断された場合、その日のデータは削除した。平日2日以上、休日1日以上のデータが無い者は削除した。その結果、幼児の身体活動量は、年齢や体格との間には、有意な相関関係は見られなかったものの、性との間には有意な関係が見られた。そのため、性を調整した一般線形モデルを行ったところ、幼児の身体活動量は、母親と子どもとの身体を動かす活動の習慣や、一緒に遊ぶ友達の数などの変数との間に有意な関連を認めた。このように幼児における身体活動量は、一部の生活環境や社会的要因と関連することが示唆された。
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