研究概要 |
【研究目的】本研究の目的は、子育て中の母親(主に就学前の幼児をもつ母親)に対して、子育て中でも負担感が少なく、かつ、ストレスマネジメント効果の得られる運動プログラムを開発し、その効果を検討することである。本年度は、(研究1)大規模調査によって、対象者の心身の健康状態を把握し、効果的な支援策を摸索すること、そして、(研究2)運動に対する負担感を軽減できるプログラムの予備的試行を行うことを目的とした。 【研究1の方法と成果】A市の保育園・幼稚園33園に通う幼児の養育者に対して、心身の健康に関する調査を行った(配布5,115票/回収2,758票(53.9%))。その結果、子育て中の母親は、自分自身にあまり良いイメージを持っておらず、メンタルヘルスも良好でないことが明らかとなった。また、仮説モデルを構築し、検証した結果、従来の周囲からの支援体制の拡充支援よりも、母親自身の自己イメージを向上させることが、母親自身のメンタルヘルスや子どもに対する良好な認知に、大きな影響力を持っていることが明らかとなった。したがって、子育て中の母親に対する運動プログラムを開発する際に、母親自身の自己イメージを向上させるような内容を加味して、構築していく必要があることが、考えられた。 【研究2の方法と成果】A市にある保育園および公民館にて、3歳までの幼児とその母親の25組前後を対象に、運動プログラムを予備的に試行した。運動プログラムは、前橋らの考案した「親子ふれあい体操」とA.S.E.プログラムを融合させて、創作し、実施した。親子がともに参加できること、親同士のグループダイナミクスが活用できることなど、プログラム実施の効果が伺え、対象者の満足度もおおむね高く、継続的な実施が望まれた。しかしながら、情緒的支援ネットワークの拡充や自己イメージの変換に至る過程を追及するには、困難であったため、次年度の課題としたい。
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