研究概要 |
【研究目的】本研究の目的は、子育て中の母親(主に就学前の幼児をもつ母親)に対して、子育て中でも負担感が少なく、かつ、ストレスマネジメント効果の得られる運動プログラムを開発し、その効果を検討することである。本年度は、昨年度に明らかにした、介入ポイントを意識した運動プログラムを実施し、その効果について検証することとした。 【平成20年度研究概要】プログラムの実施期間は、週1回、計5回である。7月に予備実施を行い、プログラムを修正後、10〜11月に本実施を行った。対象は、研究ボランティアとして集められた母親とその子どもである。子どもの年齢は、1歳児から未就園児とした。プログラムの内容は、前橋らの考案した「親子ふれあい体操」とA.S.E.プログラムを融合させて、創作し、実施したものである。その結果、プログラム実施前後で、母親自身の自信感を測る自己価値感が有意に向上しており(6.63→8.00, Z=-3.47, p<0.001)、家族以外からの情緒的支援認知が有意傾向で向上していた(7.53→8.32, Z=-1.90, p<0.1)。昨年度に行われた大規模調査の回答者を対照群として比較しても、介入群プログラム実施後の自己価値感は、有意に高い値であった(統制群6.34, 介入群プログラム実施後8.00, Z=-3.12, p<0.01)。このことから、今回実施されたプログラムは、母親の自信感を高めるプログラムとして、有効であると推察できた。ただし、プログラムにいくつかの改善点が残ること、自己価値感の結続効果が明確化できていないこと、プログラム以外の諸要因に対する影響要因の検討といった課題が残されており、このプログラムの有効性を今回の研究のみで判断することはできない。したがって、今後も継続してプログラムの効果について検証する必要がある。
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