脂肪細胞においてアディポネクチン分泌抑制に関与すると考えられているマクロファージ(骨髄由来細胞)と脂肪細胞が形態学的にどのような相互作用を持つのかを明らかにするために、GFPトランスジェニックフウスから採取した骨髄細胞を、放射線照射により骨髄幹細胞を抑制した同系統の野生型新生仔マウスに静注移植し、4〜14ヶ月後に脂肪組織を採取して伸展標本および凍結切片標本を作製の後、GFP陽性細胞の分布と細胞形態を蛍光顕微鏡下に観察した。また、この標本をマクロファージマーカーである抗F4/80抗体、抗CD11b抗体および抗Iba1抗体を用いて免疫染色を行った。骨格筋についても同様の検討を行うとともに、抗GFP抗体を用いてDAB法にて発色した試料を電子顕微鏡下で観察した。 脂肪組織において骨髄由来GFP陽性細胞は突起をもつ細胞として脂肪細胞に密に接して存在することが観察された。また、GFP陽性細胞とF4'80、CDllb、Ibalとの各二重染色では、殆どのGFP陽性細胞がマクロファージフーガーに陽性であることが観察され、脂肪細胞と骨髄由来のマクロファージがアディポネクチン分泌に密接な関係を持つ可能性が示唆された。また、骨格筋の電顕観察においても骨髄由来GFP陽性細胞が骨格筋線維と密接してる像が観察され、これらの細胞と骨格筋との関わりについても今後更なる解析が必要である事が示唆された。これらの結果の一部は2007年9月の日本体力医学会大会および2008年3月の日本解剖学会総会・全国学術集会で発表した。 また、現在ラットを用いて骨格筋におけるアディポネクチン受容体の局在を抗Adipo R1抗体、抗Adipo R2抗体を用いて解析をすすめており、持続的な運動負荷とアディポネクチン受容体発現との関連についても解析をおこなっているところである。
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