研究概要 |
ストレス/疲労社会の中で,心の健康を適切に管理するためには,日常生活の中で心の状態を評価する技術の開発が必要となる.そこで,本研究では日常生活中の心拍変動から人の気分の状態を推定する技術を開発することを目的とする.今年度は40名の被験者.(20代および30代の健常男性)に対して,日常生活中の心拍変動,気分変動,生活活動度(身体加速度)変動を同時に計測する実験を行い,データの蓄積に努めた.実験を開始する前に,産業技術総合研究所人間工学実験倫理委員会より実験遂行の承認を得た.被験者に対して,実験前に本実験の目的や解説を行った上で,同意書(インフォームドコンセント)を得た.被験者は心拍変動と身体加速度を計測する装置を装着した状態で3日間通常通りの日常生活を行った.その間,睡眠時を含めて常時装置を装着した(入浴時を除く).被験者は,1時間に1回(睡眠時を除く),その時の落ち込み感,疲労感,幸福感,緊張感,混乱,活気,不安感,怒りの8種類の気分状態をVisual Analog Scale上に回答した(簡易気分評価).これに加えて,日常の基本行動(歩行,入浴,食事等),体姿勢(立位,座位等)を記録した.これらの他に,被験者は印象的な出来事の内容とその発生時刻をメモ帳に記入した.以上のデータを数値解析し,気分状態との相関性が有る心拍変動指標を明らかにし,それらを組み合わせた気分状態評価指標を構築することが平成20年度の課題である。
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