ユニフォームに関する研究は、着装の社会的な役割を研究する上でも重要な課題であり、従来も制服の分類、ユニフォームの役割と効能に関して等は多くの研究成果が報告されてきた。しかし、企業活動のユニフォームを研究対象とする研究は従来あまりなされてこなかった。そこで、本研究では、ユニフォームは社会の中の実際の企業活動において着用されているものであり顧客を含めた社会との関連を抜きには考えることはできないとの視点に立脚し、サービス業という不特定な人々の目にさらされる職種に限定してその有用性を明確化することに力点を置いた。これは、顧客志向のサービス業が重視される現況に適合していると言得る。 2008年1月に関東圏に在住する大学生男女291名を対象に質問紙による集合調査法で調査を実施した。質問内容は、ファッションに関する項目、アルバイト先の選択に関する項目等であり、これらの項目に対して4段階尺度で評価を求めた。なお、データ分析には多変量解析を適用した。 主成分分析を用いてファッションに関する意識の分析を行った結果、流行重視、ステイタス重視、本質重視という3主成分が累積寄与率74.3%で抽出された。この3主成分と、アルバイト選択の際に重視する項目の検討を主成分得点を用いて行った結果、流行重視、ステイタス重視の意識が強い人は意識の弱い人に比べて、ユニフォームを重視してアルバイトの選択をしていることがt検定において有意水準1%で認められた。このことから、潜在変数として「ファッション意識」と「アルバイト選択の意識」を設定し、前者が後者の原因となるパスモデルを構築し、パス係数0.39が求められた。すなわち、ファッション意識とアルバイト選択意識という2つの構成概念の間には少なからぬ因果関係が本研究により確認された。特に、ユニフォームやユニフォームのデザインへのパス係数は0.83、0.86と高くなっており、アルバイト選択において重要であることが共分散構造分析を適用しての本研究により明らかになった。以上を取り纏めると、ユニフォームに対する若年層の意識の一端が明らかになり、これはユニフォームを通じての企業活動の活性化が成されうる可能性が示唆されたと云い得る。
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