研究概要 |
目的:本研究では,40〜60歳代の男女を対象として,メタボリックシンドローム(MS)の保健指導対象者に合致した者とそうでない者の「体組成」,「運動機能」の特徴を明らかにすることを目的とした。対象者:40〜62歳の男女92名(男性:51名,女性41名)とした。方法:A区職員の健康診断結(健診)果から腹位,BMI,血糖,中性脂肪,HDLコレステロール,血圧,喫煙歴を調査した。体組成計測では,体脂肪率,推定脂肪量,推定筋肉量,基礎代謝量を測定した。運動機能測定では片足立位保持時間,反復起立着座,Timed Up &Go(TUG),最大歩行速度,3分間歩行を測定した。また,「運動に対する自信の程度」と「運動に対する負担度」を調査した。分析方法:健診結果から保健指導の階層化分類((1)積極的支援:9名,(2)動機付け支援:12名,(3)情報提供:7名)と,非該当者について(4)規定値外2つ以上:22名,(5)規定値外1っ:12名,(6)問題なし:30名に分類し,体組成と運動機能について分散分析にて比較した。結果:体組成では,推定脂肪量・推定筋肉量・基礎代謝量で(1)〜(6)間に有意差が確認され,(1)積極的支援では脂肪量・筋肉量・基礎代謝量ともに(4)〜(5)に比して有意に高いことが示された(ρ<.05)。運動機能について,最大歩行速度では(1)積極的支援のほうが有意に速いことを示した(ρ<.05)。「運動に対する自信の程度」と「運動に対する負担度」に有意差はなかった。本研究の結果より,(1)積極的支援の特徴として,脂肪量も多いが筋肉量と基礎代謝量も多く,歩行速度が速いことが明らかとなった。また,運動に対する自信の程度と負担度には(1)〜(6)で相違が無いことが明らかとなった。したがって,(1)積極的支援に対するMS指導では,単なる運動指導ではなくライフスタイルに関する指導も重要であることが推測された。
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