研究概要 |
最近は,加齢に伴う骨量減少を最小限に抑えることよりも若年時に高い骨密度を獲得することが,最大の予防と考えられている。本研究では,若年者の骨密度をDEXA法で測定後,結果を個人に説明し骨粗鬆症に対する認識を深めることで行動変容が起こるかを調査し,さらに骨密度への影響について明らかにすることを目的とした。対象は,2006年度及び2007年度に看護学科に入学した30歳までの女子大学生で,骨密度・ホルモン測定と質問紙調査に同意した者(70人)とした。骨密度測定を入学時,6ヵ月後,12ヵ月後,18ヵ月後,24ヵ月後の各時期に計5回行った。入学時に質問紙調査(食事調査・性格検査・身体活動量調査)及び性ホルモン検査を行い,24ヵ月後に質問紙調査(同上・骨密度知識調査)を行った。性ホルモン値では,エストロゲン(E_2)と腰椎骨密度,大腿骨total骨密度の間で正の相関を認め(p<0.01),卵胞刺激ホルモン(FSH)と腰椎骨密度間でも,正の相関を認めた(p<0.05)。骨密度維持には,女性ホルモンであるE2の分泌が不可欠であり,腰椎骨密度で最も重要であることが示された。身体活動量(METs・min/day)では,それぞれ腰椎骨密度(p<0.05),大腿骨頸部骨密度(p<0.01),大腿骨total骨密度(p<0.05)で正の相関を認めた。また,消費エネルギー(kcal/day)と腰椎骨密度,大腿骨頸部骨密度及び大腿骨total骨密度で正の相関を認めた(p<0.05)。これにより,最大骨密度を獲得し維持するためには,継続的な運動が必要であることが示唆された。本研究結果から,骨粗鬆症予防に重要な骨密度を獲得し,維持するための意識改革及び行動変容をもたらすことが可能であると考えられた。また,骨密度測定参加や行動変容には性格も関与しており,個々の性格に合わせた積極的な啓蒙活動が必要である。
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