平成21年度は、生涯発達的視点から、介護や死別経験が個の発達にどのような影響をおよぼすのかについて、以下を中心に研究を遂行した。 1. 昨年度、アンケート調査を実施した、学校教育におけるいのちの教育の必要性に関する検討を論文として発表した。その際には、学校教育においていのちの教育を受けたかどうかと死に対する態度との関連、身近な他者との死別経験の有無と死に対する態度との関連を中心に分析をした。その結果、いのちの教育についても、死別経験についても、経験があるかないかということではなく、その内容、つまり経験の質と死に対する態度には関連があることが明らかになった。 2. 身近な他者を介護する経験が、成人期以降の女性にどのような影響を及ぼすのかについて明らかにするために、現職の女性教員を対象にキャリア発達の視点からの検討を行った。その結果、結婚時や出産・育児期と比較して、介護をすることになった場合は離職を考える割合が多いことが明らかになった。また人生の節目に関しては、身近な他者との死別経験が多くあがっており、それにより、人格的に成長・発達したと感じるという記述が多く認められた。 以上の一部と、これまでの3年間の成果を著書(分担執筆)としてまとめた。
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