アレルギー様食中毒はヒスタミン食中毒とも呼ばれ、主に赤身魚の内在菌が産生するヒスタミンを多量に摂取することが原因とされている。アレルギー様食中毒予防並びにヒスタミンの摂取を減らすうえで、赤身魚中のヒスタミン量を家庭や給食施設、飲食店で把握できることが望ましい。そこで平成19年度では、今後期待できる検査法の一つである、酵素反応によるヒスタミン定量法について、将来的に一般での利用が実現可能であるかどうかを検討した。その結果調理済みの赤身魚と酸化防止剤添加済みの赤身魚について、酵素反応法によって食中毒レベルのヒスタミンの定量が正確に行えることがわかった。また、調理後の成分には発色試薬に影響を及ぼす成分が存在することを確認し、ヒスタミン定量に影響を及ぼすアスコルビン酸とイソアスコルビン酸ナトリウムの濃度を確認した。これらの成果は日本家政学会誌に掲載された。平成20年度では、ヒスタミン合成酵素であるヒスチジンデカルボキシラーゼの阻害物質を天然物から探索した。生薬・ハーブとして用いられている薬用植物をスクリーニングしたところ、阻害活性を示す植物を確認した。それらの植物を科で分類すると、バラ科が多く、阻害活性を示した全植物の約7割がバラ科であった(日本家政学会誌に掲載)。また、香辛料として用いられているオールスパイスについても阻害活性がみられたことから、成分の同定を試み、ケルセチンの配糖体に強い阻害を示すものが認められた。この成果については学術雑誌Food Chemistryに掲載された。
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