研究概要 |
本年度は、9年前から行ってきた鹿児島黒豚のSLA-DRBI遺伝子におけるPCR反応の再現性を既存の鹿児島黒豚の高分子DNAを用いて確認した。 次に鹿児島畜産試験場の協力を得て、出荷前の鹿児島黒豚の採血に立ち合い、29頭分の血液を4〜5ml分けて頂き、血餅より高分子DNAを抽出した。また、市販の黒豚肉から液体窒素粉末法を用いて高分子DNAを抽出した。市販の黒豚肉については、その組織10gから遊離アミノ酸をアミノ酸のOPAプレカラム誘導体化法の前処理法に従って抽出した後、ロータリーエバボレーターで減圧乾固したものを50mlの蒸留水に溶かし、-80度で保存した。これを試料溶液とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて遊離アミノ酸の定量を行った。その結果、黒豚肉100mg当たりの遊離アミノ酸量は、カルノシンが33,09mg、次にチロシンが12mg、スレオニンが3.3mg、グルタミン酸が2.21mgであった。これらの結果を他の文献と比較すると、遊離アミノ酸量が全体的に非常に少ないことが分かったため、OPA反応時間もしくは、遊離アミノ酸の抽出の問題が考えられた。そこで、OPAの反応時間と基質であるSampIeの濃度変化について実験を行った結果、現在行っている条件が適していることが判ったため、遊離アミノ酸の抽出法を今後検討してく。 来年度は、更にサンプルを増やしながら、遺伝子解析を進め、遊離アミノ酸の抽出方法の確立と測定、脂肪酸の定量を行い、美味しさと遺伝子の関係について追求していく。現在日本を取り巻く食の安全性の問題は非常に多く、偽造問題に関してはこの1年メディアから姿を消す事がない。本当に安心で安全な食材、またおいしい食材を確保していくためには、食材の遺伝子情報を追求し、系統分析する必要があり、この研究が、将来的には美味しさを発現している遺伝子情報を追求し、食肉の偽造問題に貢献できればと考えている。
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