20年度は、19年度に引き続き、市販の黒毛の豚肉を購入し、液体窒素粉末法による高分子DNAの抽出を行った後、SLA-DRB1遺伝子および18s rRNA遺伝子におけるPCR反応を行った。本年度は、そのサンプルの塩基配列の決定を行い、系統樹作成によりその系統を明らかにしていきたいと考えている。 次に、19年度の課題であった遊離アミノ酸の抽出法について検討した。昨年のアミノ酸OPAプレカラム誘導体化法の前処理法の一部を食品分析法(新・日本食品化学工学会 ; 光琳)を参考に変更し抽出を行った。その後の操作は昨年と同様に行い、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した結果、前回の抽出問題は解決できたため、本年度は遺伝子解析を行っている黒毛豚について、遊離アミノ酸の分析を進めている。 21年度は、更にサンプル数を増やしながら、遺伝子解析を進め、遊離アミノ酸の測定を行い、鹿児島県工業技術センターの協力を得て、ガスクロマトグラフイーによる脂肪酸の定量を行う。また、21年度は最終年度となるため、豚肉の嗜好調査を行い、データの分析をしながら美味しさと遺伝子の関係について追求し、今後の研究に繋げていきたいと考えている。 現在日本を取り巻く食の安全性の問題は非常に多く、偽造問題に関しては未だ姿を消す事がない。本当に安心で安全な食材、また美味しい食材を確保していくためには、食材の遺伝子情報を追求し、系統分析する必要があり、この研究が、将来的には美味しさを発現している遺伝子情報を追求するとともに、食肉の偽造問題に貢献できればと考えている。
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