研究概要 |
水溶性ビタミンの1つである葉酸は,生体内において核酸の合成やアミノ酸の代謝に関与しており,必須の栄養素である。食品に含まれる葉酸は,グルタミン酸が数個結合したポリグルタミル葉酸として存在しているものが多い。これは小腸刷子縁膜に存在するコンジュガーゼによってモノグルタミル葉酸に分解されて吸収される。また食品中の葉酸補酵素型の含有量に違いがある。本研究は,食事性葉酸のグルタミン酸側鎖数,葉酸補酵素型と吸収との関連について基礎的な検討を行うことを目的としている。 ラットの小腸部位を結酸紮後、葉溶液を注入し一定時間後の残存葉酸量,血中濃度を測定した。その結果,モノグルタミル葉酸に比べ,グルタミン酸鎖が3個結合したトリグルタミル葉酸の残存葉酸量が多く,吸収が遅延していることが示された。一方,血中濃度に違いは見られなかった。現在,人工消化を施した食品サンプルを用いて葉酸含量,グルタミン酸側鎖数と吸収との関連について検討しており,人工消化過程における食品中の葉酸化合物の安定性が,食品間で異なることを示唆するデーターを得て検討している。
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