近年、あらゆる場面で食育を推進することか望まれており、とりわけ学童期では保護者の在り方が重要であることから、昨年度は親子の体格および食習慣の関係を検討し、児童の体格、食習慣が母親の影響を受けている可能性と、母親が自身のみならず子どもの健康に対して意識が高いことを明らかにした。そこで本年度は、保護者および児童を対象とした健康教育として親子同時参加型の健康診断を含めたプログラムを実施し、プログラムの有効性と成功に影響する要因について検討した。 同意の得られた小学校2校の児童40名と保護者24世帯(父親17名、母親21名)を対象として、健康教育プログラム(説明会→第1回健康診断会→結果報告会→家族毎の取組→第2回健康診断会→結果報告会)を実施した。第1回健診の結果報告会では、健診結果から家族によるディスカッションのもと問題点を抽出し、改善に向けての目標と具体的取組内容を決定させた。その後家族および個人毎に3ヶ月間の取組を行ってもらったところ、第2回目の健康診断会出席者は、児童21名、保護者15世帯(父親8名、母親14名)であり、父親のドロップアウトが多かった。 全プログラムに参加した保護者の中に肥満者は2名しかいなかったが、プログラム参加によりBMIの減少した者が30.4%、臍周囲径の減少した者が39.1%存在し、高TG血症を呈していた2名のうち1名にTG値の低下を認めた。保護者の自己効力感においては、父親で結果期待の得点が参加前に比較して参加後に高くなった(p<0.05)。しかし、36.5%の児童は家族の中で取組に最も消極的だった者が父親であると回答していた。 以上のことより、健康に対して家族全体で取組を実施するには父親の存在も重要であることが示唆された。今後、父親がドロップアウトした家族の特徴を明らかにすることで、家族介入を効率的に行うための方法を示すことが可能になると考えられる。
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