日常における森林に関する学習機会の多寡を考慮して、研究対象地を、学習機会が少ないと考えられる「都市域」、学習機会が多いと考えられる「森林域」の2地域とし、両者を代表する地域として東京都文京区および山梨県南部町を選出した。その上で、文献や地形図、植生図等を通して両地域の地域特性について把握を行った。また、行政機関や教育組織等における森林・環境教育の取り組み事例、行政機関が主導する環境配慮型社会づくりの取り組み事例を収集、整理した。 次に、本研究の主題である森林の機能に対する理解が環境配慮意識・行動の形成に及ぼす影響を明らかにする意識調査票の全体構成を検討するために、地域からの協力が得られた南伊豆町において、初等、中等教育課程に在籍する子どもを持つ保護者へ予備・アンケート調査を実施し310人から回答を得た。 さらに、平成20年度に実施する森林・環境教育プログラムの内容について検討し、同時に行政や教育機関等への協力依頼を行ってきた。 以上、平成19年度は本研究において実施する森林・環境教育プログラムの実施にむけた事前準備を行い、プログラム実施上の留意点や人の意識に影響を与えていると考えられる地域の環境特性について整理を行った。また、森林の機能に対する理解が環境配慮意識・行動の形成に及ぼす影響を明らかにするための調査手法について検討を行い、評価の指標や尺度について整理した。全体の進捗状況は、概ね研究計画通りであるが、学校教育を取り巻く状況が時々刻々と変化する中で、計画当初に比べて学校教育の中で本研究を遂行することが難しくなってきており、唯一の懸念材料となっている。それゆえ、引き続き研究の意図についてご理解頂き、協力頂けるよう働きかけていきたい。
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