本研究では、電気化学反応の本質を学習できる実験内容、実験キットの開発を行い、簡単に目にすることができない電子、イオン、電流を実験を通して体得できる教育モデルを提案し、腐食防食の実験に組み込み、設備配管の腐食事例を抱える技術者へ講座を行い教育効果の検証を行った。教育モデルの開発からその試行の一連の研究を行い、その教育効果の検証を目的とした。本年度は、昨年度作製した電気化学反応の本質を理解できる実験内容、キットの開発およびこれらを組み込んだ腐食防食教育講座プログラムを実施し、その教育効果を検証した。以下に得られた成果を示す。 (1)開発した実験内容を組み込んだ新規プログラムの実施検証 19年度に開発した新規プログラムを、横浜国立大学工学研究院主催公開講座を3講座(受講者総計145名)において実施し、民間企業技術者向け出張講座を2社(受講者総計60名)において実施した。それぞれの対象者の教育効果、その必要・妥当性をアンケートにより詳細に調査した。特に、民間企業向け講座の受講者には、講座当日及び受講後約半年後の追跡調査を実施した。多くの受講者から、「この講座で習得した内容が、実際の現場で発生する腐食事例にフィードバックでき、どのような反応が生じているかを考えることができた」という意見があり、講座の有用性が実証された。 (2)教育効果の解析と教育モデルの一般化 アンケートの結果を解析することにより、講座の試行問題点、改善点等を抽出しより高効率に理解が可能な実験内容、キットに修正を加え教育効果の高いモデルを再検討した。さらに教育システムとして一般化することを考え、他分野の産業教育. 技術者教育への適用法を提案した。
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