研究概要 |
本研究課題は,2005年福岡県西方沖の地震で大きな被害に見舞われた福岡市周辺域での地震防災を念頭においた地盤調査を学校教育関連施設およびその周辺で行い,さらに学校施設の利用者(主に子どもたち)に情報の還元や活動を共にすることによって,学術研究的成果と教育的効果をねらったものである.本課題実施にあたっては,対象学校との連携が重要で,現場教員の協力が不可欠である.実際的には通常のカリキュラムや行事の中に本実践活動を組み込むことは難しい状況であったが,各種イベントや所属大学の事業等の機会を弾力的に活用することによって,出前授業など複数校での実践ができた(これまでに4回).その中では物理探査を活用した厳密な地盤調査の実施を授業時間枠内に組み込むには至らなかったが,関連する事柄や簡単な実験,地震防災についての内容を盛り込むことができ,理科教育・防災教育への貢献もできたものと考えている,また,時間内で実施が難しかった地盤調査については,前述の出前授業時とは別に行い(これまでに7箇所),現在分析中である.こうした地下構造調査結果は,地震防災上重要な情報になるだけでなく,すべて小中学校を中心にした地点で実施しているため,子どもたちの足元の地面の下の情報の一つとして,生きた教材として大いに活用できるものである。地盤調査を行う機器借用・調達や学生の訓練などはほぼ完了しており,本課題を着実に遂行しているといえる.研究期間2年目は,さらに複数の学校での実施機会を模索するとともに,物理探査を活用した厳密な地盤調査結果を報告することや授業実践内容の検討・評価や見直しを行い,より効果的な教育実践ができるようにすることを目指す.また,この成果を学会などより多くの機会に公表し,教育現場の教諭や専門家などからコメント・助言をもらい授業実践および研究の改善に努める.
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