研究概要 |
本研究課題は, 地震防災を念頭においた地盤調査およびそれに関連する事柄を学校教育関連施設の周辺で行い, 主に子どもたちに情報の還元や活動を共有することによって, 学術研究的成果と教育的効果をねらったものである. 本課題の主たる目的は教育現場での実践研究であり, 今年度も前年度に引き続き, 各種イベントや所属大学の行事等の機会を有効的に活用して, 出前授業など複数学校での取り組みができた. 今年度実践数は, 小学校1校, 中学校2校の計5回であり, また, それに加えて, 今年度は教員を対象にした研修の場も得ることができ, 地学教育に関する教育現場での現状や問題点を抽出することができた. ただし, 学校現場の時間的制約が前年度以上に厳しかったため, 厳密な意味での物理探査的な地盤調査の実践は叶わなかった. しかし, 1コマ50分で完結させたそれに関わる地盤震動や地震防災の内容などを織り交ぜることができ, 子どもたちが地震や防災に関して, 何を知りたいのか, 何に興味があるのかを明確にできた. また, これまでは中学校・高校が中心であった実践の場を小学校に拡張できたことも今年度の成果の一つといえ, 今後の研究に弾みをつけることができた. 一方, 教材として活用するための地盤調査も引き続き実施し, 福岡市内外周辺部で総計17箇所に達し, これらの分析結果は地震防災上極めて重要な情報になるだけでなく, すべての地点での調査は学校施設を中心に行っているため, 子どもたちの足元の地面の下がどうなっているのかの知らせる「生」の教材として提供できるものとして期待できるものである. 今後は, これらをどのように教材化するかの検討が必要であると考えている. なお, これらの成果は, 論文や学会発表という形で公表済もしくは投稿中の状態であるが, 今後も分析作業の継続と成果発表を行い, 関係者からのコメントから更なる向上をさせ, 次の研究に繋げていくよう努めていく.
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