研究概要 |
平成19年度は,博物館と動物園で共通に提供することで効果的となるコンテンツの開発方針について調査を行い,その方向性を検討した。 マリンワールド海の中道における調査や,博物館においてICTを活用する関係者との研究会における議論から,博物館は実物資料に限定せず,広く情報をオープンにして提供することの重要性が明らかとなった。また,情報を一方的に受け取るだけでなく,利用者が主体的に情報を探す仕組みの重要性が示された。 九州大学ユーザーサイエンス機構の巡回展示開発担当者に対するインタビュー調査では,展示が巡回した先での地域の特性に合わせた情報を蓄積し,共有する仕組みの必要性が強調された。 上野動物園の飼育解説員に対するインタビュー調査では,博物館と動物園における情報提供の違いとして,生きた動物を展示する動物園では博物館に比べて固定的な解説情報が長持ちしないことが明らかとなり,既存の固定的なコンテンツをデータベースとして蓄積する仕組みよりも,複数の施設が共通の視点を持って新しい情報を協力して蓄積する仕組みを構築するほうがより有効であることが示唆された。 青森県立美術館におけるマルチメディア端末を用いた解説情報の提供実験の見学や,岩手県立大学の携帯情報端末開発担当者へのインタビュー,携帯電話を用い,目の前にある風景を写真で記録しぬりえに変換して観察を行うシステムの国立科学博物館における試行結果からは,利用者にとって使いやすい携帯端末を使い,ストレスなく情報を入手することの重要性が明らかとなった。 以上をふまえ,本研究において開発する共通ガイドの方向性として,利用者が最も使い慣れた端末である携帯電話を使い,電子図鑑のように基本的な解説情報が取り出せることに加え,動物や研究の最新情報をクイズやぬりえといった親しみやすい手法で取得できるものと定め,開発を開始した。
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