研究概要 |
本研究課題では,ユビキタス・ラーニング環境において,学習者の利用するデバイスの特性に応じた教材を提供するシステムの構築を目的としている.本年度はまず,教材データベースの構築と,デバイスごとにあらかじめ定義した教材を提示するプロトタイプ・システムを構築した. 教材データベースは,高校数学を対象に,我々が以前分析した教材の意味構造を基に設計した.教材データは,既存の高校数学の教科書を基に作成した. 個々のデバイスから教材データベースには,ブラウザを通してアクセスする.教材を要求するHTTPヘッダに含まれる変数HTTP_USER_AGENTは,デバイスのプラットフォームやブラウザ名を値とする.様々なデバイスやブラウザを示すHTTP_USER_AGENTの値を調査し,その値が示すデバイスの種類を特定した. 次に,デバイスの物理的特性やデバイスが利用される状況を分析し,デバイスの種類ごとに適した教材データの種類や物理的性質を定義した.PCはあらゆる教材を取得・表示可能であり,また長時間利用されることが多いため,全ての教材を提示する.一方,PDAや携帯電話のように,端末の大きさが軽量化するほど,取得できる教材データのサイズや表示可能なデータ量は小さくなる.また,移動中に利用されることが多いため,短期間の学習が想定される.そこで,PDAや携帯電話に対しては,それぞれの物理的特徴に応じて,データ量の少ない説明や,簡単に解答できる問題のみを提示することとした. このようなデバイスの種類に応じた基準に基づいて提示する教材を変えるプロトタイプ・システムを構築した.PC, Zaurus,およびソフトバンクとAUの携帯電話用のエミュレータを通してアクセスすることで,デバイスに応じた教材が正しく提示されることを確認した.
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