研究概要 |
近年, 高等教育機関の学習環境の多くは, コース管理システム(CMS)や学習管理システム(LMS)などのWebベースのe-learingシステムを導入している. しかしながら, 現在, 研究開発しているe-learningシステムは, プログラミングやシミュレーションといった実習を行うには機能が不十分である、なぜならば, 現在, 学習におけるe-learningシステムの利用方法は, 実習課題や説明をシステムに掲載し, 学習者はそれらを見ながら, 実習し課題を提出するという流れが一般的である. このため, e-learningシステムの最大の特徴である学習履歴(学習者の実習時の入力履歴, 操作履歴等)の蓄積が残らないからである. このことは, 学習者がどのような学習過程で, 課題提出までに至ったのか知ることができず, また,実習を遂行する上で的確な支援が行えないことを意味している. 本研究では, 高等教育機関で行われているプログラミング実習を対象にし, いつでもどこでもシームレスに学習が可能なe-learningシステム(ユビキタス・クラスルームと呼ぶことにする)を構築する. このシステムから得られる学習者の履歴情報を解析することにより, プログラミング時の学習者の思考過程を導出し, 学習者を支援することを旧的とする. この目的を実現するために, 本年度はプログラミング実習において, 入力情報, 端末出力情報, 姿勢情報の学習コンテキストを獲得し, これらの情報を用いてモデル化を行い, 支援すべきシーンの抽出を試みた. 実験結果として, モデルの評価値の高い時間帯の中にはプログラミング誤りが生じているシーンが含まれていたことが確認できた.この成果は, プログラミング教育において, 学習支援を行うための基礎モデルとして利用可能である。
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