研究概要 |
本研究では, 既存の言語処理技術・言語資源を有効活用することで, 用例検索・提示および産出文の検証に主眼をおいた多言語作文支援ツールを構築する. 提案ツールは, 機械翻訳のようにシステム主導の支援ではなく, あくまで学習者が主体となり, 自発的・訓練的に作文を行うための情報提示が目的である. 本年度は, 以下の項目に対して研究を実施した. 1. ツールの多言語化 : 世界の主要言語での作文支援を行うために, 対象言語を日本語・英語・ドイツ語・中国語・韓国語・フランス語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語の全9ヶ国語に拡張し, 対応する機能を実装した. またインタフェースも各言語に対応させた. 2. 柔軟な検索法の考案・実装 : 言語によって文法が異なるため語順でのミスも多い. そこで, 語順を考慮した検証支援を実装した. また, 不明な単語やフレーズをワイルドカードで抽象化して検証する機能に対して, 複数のワイルドカードおよびその候補が指定できるように改良した. この機能により, 柔軟な検証が可能となった. 3. 用例の自動抽出・提示法の改良 : 指定単語の論理演算により類似用例を検索する機能を実装した. これにより作文に利用したい用例の絞り込みが可能になったが, 用例の質に関する問題が残っている. この点においては今後も継続して検討する必要がある. 以上の成果の一部は, 国際会議1件と研究会1件, その他2件で発表し, 有用性と今後の課題について整理した.
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