・接続環境等の事前調査 離島で実際に教育に従事している方々の遠隔教育等にかかる意識やスキルを把握するため、本学教育学部の協力を得て、対馬にて本研究の目的を示し、アンケート調査を行った。その結果によれば、遠隔教育等について関心は高く、科目を問わず有用であると考えられていることが明らかとなった。また、マニュアル等を見ながら機器の接続をすることは必ずしも困難ではないものの、実際、遠隔教育を実施するとした場合、負担感は大きいとの結論を得た。 また、本学医歯薬学総合研究科離島医療研究所(五島市(旧福江市))と本学文教キャンパス間のネットワーク構築を通じて、五島市における通信回線の状況を調査した。五島市においては、電力系通信事業者は通信回線を堤供しておらず、ブロードバンド回線としては、いわゆるADSL回線もしくはケーブルテレビにより回線が提供されており、実効帯域は最大でも10Mbps程度であった。また、前述した対馬市でのアンケートによれば、勤務先の学校はともかく、自宅等ではISDN回線の使用されている場合も少なくなかった。 ・回線環境の特定・測定システムの開発 -機器選定 本研究で開発しようとしているシステムは、接続しているネットワークの回線環境や帯域等を特定・測定するシステム、ネットワーク機器やAV機器の接続方法等を指示するシステムおよび実際に遠隔教育等を実施する際に映像・音声のエンコード・デコードをシステム(ソフトウェア)を、ノート型パソコン上に構築し、それを遠隔教育等を実施しようとする地点にその都度輸送して使用することを想定している。したがって遠隔教育等を実施する際に不可欠な機器であるため、輸送時の振動等、耐障害性の高いものでなければならない。そこで、ノート型パソコンの市場調査等を行い、補助記憶装置に可動部分を持たないSSD (Solid State Disk)搭載型の機器を選定した。また、実際の授業は教室等の明るい場所で行われることから、通常の液晶パネルでは画面が視認しづらい。そこで、明るい場所ではバックライトを消灯し反射型パネルとして使用することができる半透過型パネル搭載型の機器を選定した。 -システム開発 当初の計画では、回線環境等を特定・測定するシステムはFreeBSD上で開発し、支援システムや実際の遠隔授業等はWindows上で行うため、デュアルブートとすることとしていたが、デュアルブートの切替えについて使用者の負担が少なくなく、また、ファイルシステム復旧性から単一のOSでシステム開発するほうが効率的であることから、Windows上での実装とした。現在、cygwinを使用して開発を行っている。
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