研究概要 |
本研究では,学習者が英語運用能力を適切に把握した上で,個々の学習目標を定め,その目標に向かって自律的に学習に取り組むことを支援するツールとして,eポートフォリオを開発した.平成22年度はポートフォリオの完成に向け,以下の3点を行った. 1.包括的評価データの視覚化:データ間の相関に基づき,英語運用能力を測る複数の評価データを1つのレーダーチャート上に視覚化し,「英語でできること」や学習のアドバイスをレベルに応じて提示するシステムの開発を行った.使用した評価データは,英語運用能力に対する自己診断アンケート結果,CASEC結果,TOEIC-IP結果,語彙サイズ判定テスト結果である.システムを試行したところ,本システムを自律学習に利用することにより,学習者の英語学習に対する「自律性」と「堅実性」が有意に高くなることがわかった.また,英語学習に対する自律度アンケート調査の結果と学習方略の関係の分析から,本システムは学習方略の育成にも寄与することができた.以上より,評価データを統一的な指標で管理し,学習者に提示することは効果的であることがわかった. 2.自律学習のための課題の研究:上記の評価データの関連性から,効果的な自律学習を推進するには,発信型課題の充実と,語彙や表現に関する知識を意識的にリスニングの大意把握能力に結びつける仕組みが必要であることがわかった. 3.評価指標と課題の対応:レーダーチャートによって,各学習者に足りない技能や知識が明示化されるようになった.弱点を克服するために必要な課題を提示することにより,評価と学習用リソースが対応したポートフォリオを開発した.
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