世論調査や意識調査など、学生が身近に接する調査、調査法についての理解を促すことは、高等教育における研究・学習の基礎的スキルの育成としても重要である。本研究では、質問紙調査やインタビュー調査などをはじめとする社会調査スキルの育成を目的として、情報技術を利用した学習支援システムの開発と、これを活用した大学での授業実践の評価を行う。実践研究では、社会調査スキルを育成するための学習支援方法や、学習環境デザイン方法についても検討することを目的とする。 本研究の計画は、大きくは「システム開発・拡張」と、「システムを利用した授業実践研究」フェーズに分けられる。本年度は、第一に調査票作成を支援する「調査票作成・相互回答支援システム」の機能の拡張と、インタビュー調査の学習を支援する「インタビュー動画オンライン共有システム」の拡張を行い、授業実践の履修学生に提供した。第二に、社会調査スキルの育成とシステムの評価を目的とした授業実践を実施し、試行的評価を行った。授業実践は、所属大学の教養教育の枠組みの中で、前期学期に質問紙調査を実践的に活用する授業を1科目、後期学期にはインタビュー調査や質問紙調査の基礎的スキルの習得を中心とした授業1科目を開設した。 本年度は、後期学期に開講した授業(約90名受講)を中心に、授業実践の評価を行った。とくに、調査票作成・相互回答支援システムを用いて、学生がいかに質問内容(問い)を深化させていくかの過程について検討した。また、インタビュー動画システムについては、自らのインタビュー時の映像の振り返り(リフレクション、再吟味)の評価方法について検討した。
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