研究概要 |
今年度は,育児休業による中断・再開のため,当初予定の「研究の目的」「研究実施計画」について,十分に遂行できなかった.そのような状況ではあったが,今年度は,文献研究(レビュー)を中心に進めるとともに,これまでの研究成果を整理し,教育雑誌を通じて発表した. 文献研究では,特に幼児期において.動画情報+音声を主とする環境と,静止画情報+音声を主とする環境とで,物語理解に違いがあるかどうかを検討した研究などを収集し,知見をまとめる作業をした.その結果,動画(動きのある情報)を幼児に提示することは,結果的に,物語に対する「深い理解」を妨げることになる,ということである.具体的には,動画を見ている幼児は,画面の動きに気を取られてしまい,物語の内容(すじ)に入り込むことはないということが明らかになった. 平成20年度におこなった,中学生を対象とした研究でも,上記と同じような結果が得られていることから,中学生であれ,幼児であれ,どの発達段階にあっても,動画情報があるからといって,学習者の理解は十分に促されるわけではない,ということが再確認されたと言えるだろう. 成果発表に関しては,平成20年度に発表した論文が,日本教育メディア学会より「井内賞」を授与されたことから,雑誌「視聴覚教育」から寄稿依頼を受けた.この雑誌は,学校教育現場の実践者を読者として想定している.したがって,本研究の成果が,教育実践場面にも適用可能であることが認められたと言えるだろう.
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