平成22年度は、昨年までの成果である(1)講師の意図取得によるコンテンツ編集技術、(2)Web資料における学生の演習動向取得技術、を利用したシステムの開発を継続し、実際の講義で運用を試みた。 前者技術を用いたものとして、板書講義の収録・編集・配信システムを構築した。昨年度のプロトタイプの完成度を高め、数学担当の講師2名に様々な進行の講義を実演してもらう実験を行った。結果、認識精度や編集結果が良好であることを確認できた。 後者の学習動取得技術は、昨年度のプロトタイプの情報提示手法に問題があったため、これを改善した。昨年度と同じ資料・同じ内容の講義で運用した結果、昨年度は認識できなかった学習動向を検出できた。この結果をもとに、現在は講義の進行方法改善に取り組んでいる。 本研究課題で得られた成果の意義は大きく2つある。1つは、板書や手書きノートといった、従来は電子化から無視されてきた良質なコンテンツを取り込む手段を提供したことである。もう1つは、取り込みと編集を極めて低コストに実現したことである。本成果ではこれまでの設備をそのまま使った収録が行える。また、視聴環境や学習意欲にあわせた編集を全自動で行うことができる。 国際競争社会では教育水準の維持とさらなる向上が必要不可欠であり、本成果はその一助となることが期待できる。
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