各大学が様々な人試方式を実施するようになり均質な学生の確保かできす、大学教育が難しくなっている現在において、ITを用いた教育システムを模索した。「教室内での講義」「オンライン教材」「学生の自主学習」といったものを独立したものと考えるべきでは無いとの仮説に基づき、『ネットワークを介した情報提示とリアルタイムオンライン確認テストを講義中に随時実施する講義スタイル』の提案・開発・運用を行った。 具体的には通常の講義との比較を目的に、講義の前半(第1〜8回)は、2、3週間講義を行いまとめて小テストを実施する通常の講義的な形式で講義実施し、講義の後半(第9〜13回)では、本システムの特徴を感じられる、90分間の講義において解説とそれに対するリアルタイムオンラインテストを繰り返し実施する形式で講義実施した。また、この2種類の講義スタイルを体験した学生から本システムに対する印象をオンラインアンケートを通して取得した。 結果、情報学部と看護学部の学生に対する運用と印象評価アンケート結果から、本講義システムが実際に運用に耐えうることを確認し、また、他の教育機関においても利用可能な汎用性を有していることを確認した。また本講義システムでは学生の理解度の把握を目的としていたが、本講義システムの中核となる「講義中に随時実施するリアルタイムオンライン試験結果と、各種指標の相関関係」を求めた結果、「現状の本講義システムで把握できているのは学生の講義への参加姿勢」であるとの知見を得た。 以上の成果はIT技術を、実際の講義の場における教員と多人数学生の質の高いコミュニケーションに役立てる仕組み作りになったといえ、教員からの一方的な教示になりがちな多人数学生向けの講義科目のあり方を考える上で、学術的な意義のあるものになったといえる。
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