研究概要 |
本研究は,1過去の受講者からの情報収集による行動モデルの構築,2参加中の受講者の傾向判定による動的なコンテンツ配信,3行動モデルと学習効率によるコンテンツ配信戦略の評価という3つの段階を通じて,配信戦略システムを構築・評価することが最終目的である.本年度は,第一に,受講者の行動予想を行うシステムが,提案手法によって実現できるか,第二に,補強用コンテンツが受講者に対してきちんと働きかけることができるか,という,システムの構築に欠かせない要素を検討することを目標とした. 第一の目的である,受講者の行動予想を行うモデルの検討のため,オンライン教材を構築してデータの収集を行った.中学生を対象に,比例から二次関数までを扱う数学のテストコンテンツを作成し,154人分のデータを収集した.このデータをもとに,非階層クラスタリングによる大域的視点からの分析と,データの時系列性に着目したルール探索による局所的視点からの分析を実施し,双方を組み合わせることで学習者の行動シナリオを構築した.この手法について学会発表を行った.この研究に関しては,内容を見直したものについて,国際学会への発表を準備中である.また,論文誌への投稿も準備中である. 第二の目的である,補強用コンテンツが受講者に対してきちんと働きかけることができるか,という点を確認するために,学習マネジメントシステムMoodleを用いたeラーニングサイトの運用を開始した.前述の学習者の行動モデルに関する研究の知見を元に,細かく単元を分けて小テストを配置し,学習者の行動モデルのための更なるデータ収集も兼ねる形をとった.学習教材は中学校数学のベクトルの単元を題材とし,Flashを使ったアニメーションを組み込んだ教材について,テストとアンケートによる評価を実施中である.
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