本年度は昨年度からの調査分析に基にしてシステムの雛形の構築を行った。昨年度からの高校業界を対象とした大学情報のニーズ分析の結果、大学入学から大学卒業までに得られる学習成果についての情報が進路決定に非常に重要な影響を及ぼすことがわかった。また、現在大学が発信している学習成果に関する情報の信頼性は非常に低いこともわかった。信頼性が低い原因として以下の点が抽出された。(1)学習成果の内容が抽象的である(2)学習成果があがった証拠が示されていない(3)学習成果を得るまでのプロセスが示されず、どのような教育が受けられるか具体的にイメージできない(3)パンフレットなどの大学の宣伝用なので実際にその教育が受けられるかの確信がもてない この結果をふまえて、上記の4点を克服するために、(1)学習プロセス(2)学習成果(3)学習成果を得られたことを示す証拠(エビデンス)に関する情報を明記したシラバスを作成するための支援システムを提案した。本システムでシラバスの作成、公開を行うことにより、学外者も宣伝用ではない実際に学内で活用されている教育情報を閲覧することができ、上記の4点を克服することができると考える。 また、本システムのフレームワークを提示し、大学教員、高校教員、予備校関係者に評価を求めたところ、大学教員からはシラバス作成負担が大きいとの指摘があったが、他の高校教員、予備校関係者は概ね良好との評価であった。
|